イタリアで暮らしたい人へ

写真に意味はまったくないんですが。続きを読むをクリック。
写真に意味はまったくないんですが。続きを読むをクリック。

久しぶりの更新ですが、今日はよく受ける質問に答えてみようシリーズです。

 

これもまた禁断の話題のような気がするんですが…。

よく受ける質問の1つに、「私もモカさんのようにイタリアで暮らしたいです!」というのがあります。

どうすればいいですか?と聞かれることもよくあります。

でもまぁ何度もこの手の質問を受けていると気付くんですが、本当に来る人はどんなマイナス要素を伝えてもちゃんと来るし、来ない人はどんなプラス要素を話しても来ない、ですね。

 

かつての私がまさにそうでした。

イタリアが好きで好きで、誰に何を言われても全然おかまいなし!

イタリアという国の悪い面も色々見聞きはしていたけれど、それもまた「けど、そんなイタリアがやっぱり好き!」という、まさにアバタもエクボ状態。

止められてもマイナス面を言われても、結局突き進んでしまいました(^^;)

そういう人も、中にはいます。

 

 

でね、過去の自分が誰に何言われても聞く耳持たなかったことをよぉーくわかった上で、現在の自分から、幾つか思うことを書いてみたいと思います。

「イタリアに暮らしたいと思っている、あなたへ」

 

写真は最近食べた美味しいものたちですw
写真は最近食べた美味しいものたちですw

(大前提としてペルメッソとかの仕組みについてはわかっていることを前提にしています。その辺のことがわからない方はネットで調べてください。丁寧に説明してくださっている方が山ほどいます。どうやったらペルメッソを取れますか、的な質問にはお答えできませんので、あしからず)

 

イタリアに一人旅して、この国が大好きになって、「よし、好きなんだから住もう」と決意した数年前のモカさん。

システム的なことは探せば情報はいくらでも手に入るんですが、ぶっちゃけたことを言ってくれる人はいなかった。

なので、禁断の話題かもしれないし、完全に私個人の主観ではあるけど、移住希望者(過去の自分)に対して思うことを書いてみます。

 

 

まず、かつてのモカさんが最も聞きたくなかったことをズバリと言います。

あなたがイタリアに暮らしたい理由がもし、「この国が好きだから」ならば、移住はオススメしません。

 

イタリアという国はよく言われるように、旅行(年単位の留学も含む)なら天国、住めば地獄、と言う言葉がぴったりの国です。

今は恋の魔力で、イタリアの不便さやネガティブ要素も「そんな所も素敵」「自分は気にしない」→「むしろ自分に合っている」と見えるでしょう。

しかしね、どんな熱い恋愛だっていつか倦怠期が来るように、実際に日本での生活基盤を断ち切って本格的に移住してみると、ぶつかる壁が必ずあります。

そんな時、「好き」がここに居る理由だと、壁を乗り越えるのが非常に困難なんです。

 

 

※補足

今私が言っている「本格的な移住」というのには、残念ながら留学を含みません。

たとえ年単位で留学していても、いつか日本に帰るという前提がある以上、それは移住とは呼ばないと思います。

ここで言う移住とは日本での仕事、学業、住処などを完全に消去し、生活基盤をイタリアに移すことを指しています。

帰れる場所があるかぎり、イタリアでの生活は「旅行」に近いものになると思われます。

 

 

フィレット・アル・ペペヴェルデ。
フィレット・アル・ペペヴェルデ。

逆に私が移住をオススメする人は、「たとえイタリアが嫌いでも、俺のやりたいことはここにしかないんだ!」という人です。

靴職人さんでもいい。オペラ歌手でもいい。絵画修復師さんでもいい。

耳をすませば、のセイジ君みたいに、バイオリン職人でもいい。

イタリアが一番本場と言える技術の習得とか。

とにかく、あなたが生涯を賭けてやりたいことが、ここにある場合です。

それなら、たとえどんな困難があったとしても、この国に移住することをオススメします。

前述した壁にぶつかった時にも、あなたのやりたいことが必ず支えになってくれます。

あなたの情熱をサポートしてくれるイタリア人も、きっと見つかります。

思ったほど嫌な場所じゃなかったと、きっと気付くことでしょう。

 

 

スカンピ!
スカンピ!

 

ここまで読むとわかりますね。

私は、イタリアが好きな人には移住はすすめず、好きでもなんでもないという人にこそ移住をすすめます。

好きな人には、たとえばバカンス先としてとか、イタリア系企業の日本支社に務めるとか、何かしら日本という基板を失わずにイタリアと関わる方法をオススメします。

できるなら日伊両方に家を持つのが理想ですね。

年の半分を日本で、もう半分をイタリアで暮らすことができたら、それはそれは素晴らしい人生かもしれません。(ペルメッソの件度外視ですよw)

そうすればアナタの「好き」という気持ちは、生涯汚れることがないでしょう。

永遠の恋人としてイタリアを好きでいられると思う。

 

 

なんていうのかな、うまく説明できないけど…。

ここに居る理由が「好きだから」というのは、とってもリスキーなんです。

じゃあ好きじゃなくなったらどうすんだってとこまで考えないといけません。

 

大好きな人がいて、幸福にも付き合うことができて。

結婚して、一緒に生活するようになって。

そんな時、相手の中にどうにも好きになれない部分を見つけたり、相手に深く傷つけられるようなことをされて失望した時、どうしますか?

相手のことは好きだけど、相手の親にいびられたら?

最初は何もかも素敵に見えてたけど、恋の魔力が解けて一気に何もかも嫌になることって、ありますよね。

しゃべり方が嫌い。食べ方が嫌い。

どうでもいいような小さなことが積み重なって、大きなストレスになっていきます。

その人と同じ家で同じ空気吸うのがつらい。

逃げ帰る場所もない。

徐々に2人の心がすれ違って、彼の方にもイライラが募って、喧嘩が絶えない生活になる…。

 

それと同じことを、移住先の国に対して感じることを想像してみてください。

最初に感じていた好きという気持ちが本物であればあるほど、その後の生活は苦しいものになります。

期待と失望の繰り返し。自分で選んだ道だからこそ、余計につらい。

一度この状態に陥ると、再び「好き」に戻るのは困難です。というか、不可能です。

唯一、ハッピーエンドにする道は、恋から愛になること。

でも国を相手にした場合、「好き」から「愛」へと至る道はそう簡単ではありません。

アナタをこの国に移住させるほど燃え上がっていた「好き」という気持ちを捨てなきゃいけないし、その過程で味わう苦痛は形容しがたいものがあります。

 

 

海外移住をきっかけにして軽い鬱状態になることを、私は海外移住鬱と呼んでいます。

誰にでも起こりうることで、また起きて当たり前なことでもあります。

 

先に言っておくと、この「海外移住鬱」は克服可能なものです。

でも、できるなら一生経験しないほうがいい、ツラく苦しい体験であることは間違いありません。

海外移住鬱は誰でもなりうるものだし、なる過程や重さは人それぞれだけれど、「イタリアが好きだから」という理由で移住を決意した人の場合は、通常よりも更にリスクが高い、と思います。

 
これは最近いつも焼いている人参食パン。離乳食用です。イタリアの食パンは美味しくないからw
これは最近いつも焼いている人参食パン。離乳食用です。イタリアの食パンは美味しくないからw

それでも、ここに書いたようなことを言われても、過去のモカさんは止まらないと思う。

そのくらい好きというエネルギーに満ち満ちてたもん(笑)

 

その場合は、まずはこちらで学校に入ることをおすすめします。

語学留学である必要はないと思う。

公立の大学とかだと学費も相当安いみたいだし、語学学校より現地イタリア人と知り合う機会が多くて有意義なんじゃないかな。

第一、語学は独学でも十分身につきます。

 

学校に入れば日本人同士の横の繋がりもできます。

数年間、まとまった期間をイタリアで暮らすこともできます。

まとまった期間イタリアにいれば、現地にコネも作れます。

何を学ぶかにもよるけど、アナタがここに居る理由がより具体的に沢山増やせると思います。

学生でいる間はあくまで「お試し期間」だし、そこでうまくいっても移住後にうまく行くとは限らないけど…でも現状ではベストな選択なんじゃないかな。

 

私は前も書いたようにイタリアで学校に通ったことがないので↑のような過程はすっ飛ばしてしまいました。

でも今になって、やっぱり行っておけばよかったと思っています。

 

パロンボ。
パロンボ。

 

さて。

本気で移住したいと考えている人には、あんまりいい話じゃなかったですねww

怒られそうなことばっかり書いたけど、あくまでここに書いた内容は「過去の自分へ」ってことで見逃してくださいね。

こういうこと公に言う人ってあまりいないから、「そういう意見もあるのかー」程度に考えてください。

私はこれから住みたい人からの質問もよく受けますが、同時に、既に住んでいて上に書いたような海外移住鬱状態に陥ってしまった方から質問を受けることも複数あるんです。

 

 

あ、念のためもう一度書いておくけど、海外移住鬱は克服可能ですよ。

だから、もしそっちのワードで検索してここに辿り着いた人がいたとしても、暗い気持ちにならないでくださいね。

その辺の話もいつか書きたいなとは思ってるんですが、今日のテーマからはずれるので、また今度。

 

コメントをお書きください

コメント: 4
  • #1

    藤岡佐知子 (月曜日, 16 1月 2017 09:13)

    こんにちは。今朝、引越し先を探すのにこちにたどり着きました。私は去年の7月から家族で越してきました。娘(17)と息子(12)が居ます。主人の仕事の関係でフィレンツェに縁があり、主人がフィレンツェに軸を移したいのと娘が引きこもりで息子はイタリアの方が合っている理由で来ました。でも12月に離婚したので引越さなくてはならず、でもフィレンツェに私と子供2人は暮らすことに決めました。このお話を読んで共感と励ましを頂きました。ありがとうございました。

  • #2

    kuu (水曜日, 31 5月 2017 17:17)

    はじめまして。
    イタリアで暮らしたいと考えています。
    とても参考になることが
    書かれていて、なるほどと
    おもいました。

    書かれていることは、
    確かに厳しくもありますが、
    はさんでいる魅力的なwお料理の写真が、
    「イタリアいいよ~」と
    言っているように思えてなりませんw

  • #3

    佐藤モカ (水曜日, 31 5月 2017 19:37)

    コメントありがとうございます。
    この時期よく質問を受けてたので厳し目に書きましたが、このブログを書いてから更に3年弱経ち、最近では「イタリアいいよ〜」という気持ちの方が少し強くなってきました。
    日本人でありながら日本での生活基盤がないことで不便さはありますが、実際のところ、イタリアに飛び込んでみてよかったなと思ってます。在伊8年経ったので、もはや日本での暮らしに戻るのも大変かも…(笑)
    結論:イタリア、いいですよ〜。

  • #4

    kuu (木曜日, 01 6月 2017 09:57)

    こんにちは。

    この時から、3年たっていたんですね!
    こちらのブログのお写真がどれもこれも
    とても綺麗で、ウットリしてしまいます。

    ご丁寧な返信を書いていただき、ありがとうございました^^
    考えるきっかけになりました。